ローヤルゼリー特有の成分ロイヤラクチンの特徴

女王蜂への分化と成長を支えるロイヤラクチン

優れた健康食品であるローヤルゼリーには、「R物質」と呼ばれる特有の成分が豊富に含まれています。そのうちの一つがロイヤラクチンというたんぱく質です。
富山県立大学工学部生物工学科の鎌倉昌樹講師によって発見されました。ロイヤラクチンはローヤルゼリーに2%程度含まれています。
鎌倉氏の研究によると、このロイヤラクチンはミツバチの幼虫が女王蜂へと育つ=分化を決定づける成分とされています。
さらにロイヤラクチンには、女王蜂の成長に欠かせないホルモンの分泌を促す働きがあることも分かっています。
ミツバチの幼虫にもたらす作用が、人間にも起こり得るのかについてはいまだ解明されていません。それでもロイヤラクチンが注目の成分であることに変わりはなく、さらなる研究の進展が待たれます。

ロイヤラクチンの働き

女王蜂への分化を決定づける

長らく謎とされてきた女王蜂への分化を誘導する因子

ミツバチの幼虫は働き蜂が分泌したローヤルゼリーを食べることで女王蜂へと分化します。ローヤルゼリーを与えられなかった幼虫は働き蜂へと分化します。
女王蜂に分化すると働き蜂の2~3倍の大きさまで成長し、40倍も長生きします。働き蜂と女王蜂は同じ遺伝子を持っているため、後天的な要因で分化することになります。
ローヤルゼリーに含まれる何らかの成分が分化を誘導していることは分かっていました。しかし、そのメカニズムについては長らく謎とされてきました。

ロイヤラクチンが女王蜂への分化を誘導する因子であることが特定される

2011年、富山県立大学の鎌倉昌樹氏は、自身がかつて発見したたんぱく質が女王蜂への分化を誘導する因子であることを特定し、ロイヤラクチンと命名しました。
ローヤルゼリーを40℃で保存すると劣化によって活性が失われていきます。そこで保存日数を変えて幼虫にローヤルゼリーを投与したところ、30日で全ての幼虫が働き蜂へと分化することが分かりました。
この40℃で30日間保存したローヤルゼリーを調べた結果、ロイヤラクチンがほとんど失われていたのです。(参考元1)

さらにロイヤラクチンを実際に幼虫に与える実験を行いました。ミツバチの幼虫は特別に選ばれた1匹のみにローヤルゼリーが与えられて女王蜂へと分化します。
そこでロイヤラクチンを働き蜂を育てる培地(※1)に添加しました。その結果、働き蜂ではなく女王蜂へと分化することが確認されたのです。(参考元2)

(※1)生物を培養するために用意した生育環境。

女王蜂の成長を促す

ロイヤラクチンは女王蜂への分化を誘導するだけでなく、分化した後の成長を支える成分でもあります。
幼虫は頭部から高濃度で分泌される「幼若ホルモン」によって成長が促されます。ロイヤラクチンはこの幼若ホルモンの分泌を促す働きがあることが分かっています。

抗疲労効果

優れた栄養価を持つローヤルゼリーには抗疲労効果が期待されています。マウスを使った試験では、ロイヤラクチンがローヤルゼリーに抗疲労効果をもたらしている可能性が示されています。

【ローヤルゼリーの効果を示す試験結果】

マウスにローヤルゼリーを投与し、流水層で泳がせて疲労度を評価したしました。その結果、-20℃で保存したローヤルゼリーを与えたマウスの疲労が軽減されることが確認されました。
一方で40℃で7日間保存したローヤルゼリーを与えたマウスには、抗疲労効果が確認できませんでした。(参考元3)

この40℃で7日間保存したローヤルゼリーを調べたところ、ロイヤラクチンの約90%が失われていたのです。これは熱によってロイヤラクチンが分解されたことで、ローヤルゼリーから抗疲労効果が失われたことを示しています。

関連記事:ローヤルゼリーの疲労回復効果

ロイヤラクチンはローヤルゼリーの品質指標となる成分

ローヤルゼリーには熱に弱いという欠点があります。生ローヤルゼリー(※2)を常温で置くと、劣化が進んで成分の活性が失われていきます。活性を失ったローヤルゼリーを摂っても効果は期待できません。
40℃で7日間保存するとロイヤラクチンの約90%が失われます。この時点で抗疲労効果も失われますが、ロイヤラクチンが完全で失われたわけではなく、女王蜂への分化を誘導する働きは残ります。
40℃で30日間保存するとロイヤラクチンはほぼ全て失われ、女王蜂への分化を誘導する働きも失われてしまいます。このことからロイヤラクチンはローヤルゼリーの品質保証となる成分だと考えられています。

(※2)加工を最小限に抑え、鮮度を保ったまま5℃以下で冷蔵または冷凍したローヤルゼリー。

ロイヤラクチンの作用については謎や疑問点が残されている

ロイヤラクチンは最近になって発見された成分です。同じR物質であるデセン酸と比べると、研究が進んでおらず未解明な部分が多く残されているのが現状です。
ロイヤラクチンに関する実験と論文の執筆は全て鎌倉氏が一人で行ったため、他の研究者による十分な検証がされていない可能性があります。
実際に2016年には「ロイヤラクチンは女王蜂への分化を誘導出来ない」とする論文が発表されていて、(参考元4)鎌倉氏がこれに反論しています。研究の再現性について議論が起こっています。
またミツバチの幼虫にもたらす作用が、人間にも起こり得るのかについては研究が行われていません。このようにロイヤラクチンについてはいまだ謎や疑問点が残されていて、さらなる研究の進展が待たれます。

参考元1:RESEARCH -研究を通して-:女王を育むロイヤラクチン
参考元2:鎌倉 昌樹氏:女王バチを作るロイヤルゼリーの成分を発見! | Nature 著者インタビュー | Nature | Nature Research
参考元3:ローヤルゼリー中に新たに見出された品質指標となるタンパク質:ロイヤラクチン ミツバチ科学23(1) 17-22
参考元4:No single protein determines queen development in honeybees

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